プロジェクトの作業を金額に換算してコストとスケジュールの2点から定量的に管理する進捗管理手法をEVMと呼びます。
具体的には予算値と実績値からPV、EV、ACの各指標を算出し、それぞれを比較することでコスト差異とスケジュール差異を把握します。
PV(Planned Value)
プロジェクト開始当初に計画されていた、現時点までの作業に対する予算のことです。
プロジェクトの最初の段階で設定されます。またプロジェクトの進行に従って累積的に増加する性質を持ちます。
EV(Earned Value)
現時点までに完了した作業の価値のことを言います。
プロジェクトのある段階(一定の作業が完了した時など)で都度設定されます。
AC(Actual Cost)
現時点までに完了した作業へ実際に投入された総コストのことです。
プロジェクトのある段階(一定の作業が完了したときなど)でコストがいくらかかったのかを確認した数値です。
ETC(Estimate To Complete)
残作業に要するコストのことです。
EAC(Estimate At Completion)
プロジェクト終了時の総コスト予測値です。ACにETCを足して計算します。
BAC(Budget at Completion)
プロジェクト初期の予算計画でプロジェクトの初期計画段階で設定され通常はその後変更されない数値となります。
数値から見えてくること
前述の数値を見ればプロジェクトの状態がわかってきます。
コスト超過か下回っているか|CV
ある時点でのコストが超過しているか、下回っているかを判断したい場面があります。そんな時は以下の式で見ることができます。
EV – AC = CV
EV:現在の完了時点に割り当てられていた予算
AC:現時点作業完了分に実際に投入された予算
CV:現時点でのコスト差異
このCVがマイナス値の場合はコストが計画よりも超過
CVがプラスであればコストが計画を下回っている
となります。
スケジュールの差異|SV
スケジュールの進捗も見ることができます。
EV – PV = SV
EV:現在の完了時点でのプロジェクトの価値
PV:プロジェクト開始当初割り当てられた予算
SV:スケジュールの差異
SVがマイナスであれば進捗遅れになります。予算の価値に現時点では達していないのでSVが0で進捗通り、SVがプラスの値になればスケジュールより早くプロジェクトが進んでいることになります。
EVとACの違い
この2つは視点が違います。EVは価値を見ています。ACはコストを見ています。
EVはあくまでもそのプロジェクトの完了したものの価値を指標として見ています。
対してACが見ているのはコストです。ある時点で今どのくらいお金を使ったのか?を見ています。
SPIとは|スケジュールの進捗率
SPI(Schedule Performance Index)はスケジュール実績指数とも呼ばれるプロジェクトの進捗を割合で示したものになります。
公式は以下となります。
SPI = EV / PV
SPIの値が1より多ければスケジュールは計画よりも進んでいるという判断ができます。
CPIとは|コストの実績指数
CPI(Cost Performance Index)はコストの計画と実際のパフォーマンスを比率で表したものです。
要はプロジェクトの予算をどれだけ有効に使えているか(無駄なく使えているか)を図ることができます。
CPIは以下の式で計算できます。
CPI = EV / AC
CPIが1以上であればそのプロジェクトは予算を有効に使っていると判断できます。逆に1未満であれば予算を超過していると判断できます。
EACとは|完成時総コスト見積もり
EACとは全体作業完了時までに予測される総コストを表すものです。計算方法はいくつかあります。それぞれの状況に応じて使い分けていくという性質のものになります。
CPIを元に計算する
ある時点でのCPI(コストパフォーマンス)を計測し今後も同じ比率でプロジェクトが最後まで進むと仮定した場合は以下の公式で計算を行います。
EAC = BAC / CPI
この計算方法は今後プロジェクトが変化なく進む仮定で計算をしたものです。
ETCを元に計算する
ETCとは今後の作業コストを直接見積った値です。以下の公式で計算します。
EAC = AC + ETC
これまでと違うコストパフォーマンスになると予測される場合はこの方法で計算を行います。
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